業務の効率化を測るためには、標準化されたマニュアルの作成は不可欠です。しかし、作成には時間と労力がかかるため、効率的な方法を模索している方も多いでしょう。

近年話題のAI技術を活用すれば、マニュアル作成の効率化は可能です。そこでこの記事では、AIを活用したマニュアル作成の方法や注意点などを解説します。AIをどのように活用すれば良いのか知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

AIを使ってマニュアル作成はできる？

近年、AI技術の進歩によって、便利なサービスやソフトが多数提供されています。この恩恵は、会社の業務も例外ではありません。一般的な文書作成にAIを活用できることは知られていますが、実はマニュアル作成にも応用できます。しかし、具体的にどう取り入れるのか知らない方も多いでしょう。

AIをマニュアル作成で活用するには、作成の工程の一部で生成AIを使う方法と、AI技術を活用した作成ツールを利用する方法の2通りがあります。

工程の一部は生成AIで作成できる

生成AIを活用すると、マニュアル作成の工程の一部を効率化できます。生成AIは文章や構成作成・要約・校正や翻訳・画像生成など幅広い作業が可能です。

ただし、生成したものをそのまま使えるわけではありません。また、オフィスソフトなどのフォーマットへの入力は自力で行う必要があるため、あくまで工程の一部を簡略化できると考えておきましょう。

各作業への活用方法は後述するため、ぜひ試してみてください。

AIでマニュアルを作成するツールもある

作成者がAIを操作するのではなく、「AIを利用したツールを使ってマニュアルを作成する」選択肢もあります。

マニュアル作成ツールは多数の企業が提供しており、AI技術を搭載しているものも少なくありません。例えば「複数の条件を入力することで、AIがマニュアルを自動作成する」といった機能もあります。ただし、できることとはツールにより異なるため、確認が必要です。

マニュアル作成ツールについては、こちらの記事で解説しています。

AIをマニュアル作成に活用する方法

AI技術を活用すれば、マニュアル作成の効率と品質を上げられます。具体的な活用方法は以下の通りです。

• 構成のたたき台として使う
• 文章を自動生成する
• 要約や校正に使う
• 翻訳してもらう
• 画像生成に使う

それぞれプロンプトの例とともに紹介します。

構成のたたき台として使う

マニュアル作成の初期段階では、全体の構成を決めることが重要です。この段階で、AIを活用すれば、構成や目次を迅速に作成できます。AIにキーワードや重要な項目を入力すると、それに基づいて大まかな構成のアイデアを生成してくれます。もちろん、生成された構成をそのままは使えないので、あくまでたたき台にするイメージで使うと良いでしょう。

生成された構成の不要な部分を削除し、足りない部分や自社独自の部分を追加すると実用的になります。

プロンプトの例）「〇〇の業務マニュアルの構成を作成してください」

文章を自動生成する

AIは膨大なデータを元に文章を自動生成できます。そのため、マニュアルの目次や構成ができたら、それを元にマニュアルの本文を作成してもらいましょう。

ただし、構成の文言に沿って一般的な記述がされるため、適宜必要な要素を足す必要はあります。ざっくりと文章を作ってもらい、人の手で調整して完成度を高めましょう。

プロンプトの例）「『（構成）』上記の構成に従って、本文を執筆してください」

要約や校正に使う

AIは文章の要約やチェックにも使えます。マニュアルの文章が長文になる・本文の内容が冗長・もっと簡潔にしたい、そんな時はAIに要約してもらいましょう。

また、校正（文法やスペルチェック、表記が統一されていない状態を修正する）にも使えるため、作業の手間を省いて効率的に内容を整えられます。

プロンプトの例）「『（本文）』上記の文章で表記揺れがあれば教えてください」

翻訳してもらう

AIは翻訳も可能です。マニュアルを日本語で作成した後、外国語版も併せて作りたい時にはAIに翻訳してもらいましょう。英語はもちろん、フランス語や中国語、韓国語でも翻訳できます。

ただし、訳した文章のニュアンスが若干異なる場合もあるかもしれません。念の為、訳した文章を再度和訳して確認してから使用すると良いでしょう。

プロンプトの例）「『（本文）』上記の文章を英訳してください」

画像生成に使う

AIは文章だけでなく、画像の生成も可能です。マニュアル作成時に、分かりやすくするため画像を挿入したい、イメージ画像を入れたいといった時もあるでしょう。フリー画像サイトから探すのも1つの方法ですが、AIで生成した画像が役立つ場合もあります。

画像生成は、さほど難しくありません。多くの場合、テキストで画像の説明文を入力するだけで、画像が生成されます。ただし、細かな指定が難しい、同じ文章を入力しても再現できるわけではない、商用利用不可のものがあるなどのデメリットはあるため、理解したうえで使用しましょう。

AIをマニュアル作成に利用する際の注意点

マニュアル作成にAIを活用できる一方、使用するうえでの注意点もいくつかあります。

• ファクトチェックが必要
• 情報漏洩のリスクがある
• 業種や分野によっては使いづらい

以下でそれぞれ解説します。

ファクトチェックが必要

AIは大量のデータを基に文章を生成しますが、すべての情報が正確とは限りません。一見正しい文章を生成しているように見えても、間違っていることも多々あります。

そのため盲目的に使わず、生成された文章は人間によって正しい情報かチェックしましょう。事実に基づいた正確な情報を記載し、信頼性の高いマニュアルを作成してください。

情報漏洩のリスクがある

AIツールを使用する際には、情報漏洩のリスクがあることを理解しておきましょう。特にクラウドベースのAIツールでは注意が必要です。

例えば、chatGTPは基本的なセキュリティ対策を公表していますが、情報漏洩のリスクが全くないとは言い切れません。そのため、個人情報や社外秘の情報などを入力すると、他のユーザーのチャットに表示される可能性もあります。社内の重要な情報を入力しないよう、使用上のルールを作っておくと良いでしょう。

業種や分野によっては使いづらい

AIでできることは多いものの万能ではありません。汎用性の高いものは比較的AIが使いやすい一方で、独創性の高いものや感情を汲み取る必要があるものは現時点のAIは不得意としています。

このような場合は、AIを補助的なツールとして使用すると良いでしょう。構成や文章作成は人間が行い、文章のチェック作業などにAIを活用すると効率良く進められます。

マニュアル作成に活用できるAI

マニュアル作成において、AI技術は非常に役立つツールです。特にChatGTPやGeminiは、その高い生成能力により、さまざまなマニュアル作成に活用できるでしょう。いずれのツールも無料で使用可能ですが、課金するとできることが増え、生成スピードも速くなります。無料版からで問題ないため、まずは扱いに慣れるためにも触れてみましょう。

ChatGPT

ChatGPTはOpenAI社による生成AIです。会話するように質問やプロンプトを入力すれば、文章の生成や要約などができます。

ChatGPTは常に進化しており、新しいモデルが不定期に発表されています。2024年7月現在の最新モデルはGTP-4o（オムニ）で、利用回数制限はあるものの、無料で利用可能です。

有料版なら回数制限が大幅に緩和されるほか、拡張機能であるGTPsを利用できるため、画像生成をはじめとする多彩な機能も利用できます。

Gemini

GeminiはGoogle社による生成AIです。以前は「Bard」という名称で提供されていました。

Google社が開発しているため、検索エンジンを活用した情報収集に長けています。

Geminiは無料版でも文章の生成速度が速いのが特徴です。有料版では、文章の生成の精度が上がるほか、Googleドライブ容量が追加されるメリットもあります。

いずれの生成AIも、使いこなすためにはプロンプト（指示文）が肝となります。具体的なプロンプトを出し、都度工夫することで、よりニーズに沿った文章や構成を生成してもらえるでしょう。

まとめ｜AIを活用して効率よくマニュアルを作成しよう

AIをうまく利用すれば、マニュアル作成にかかる時間を短縮できます。マニュアルの構成のたたき台を作る、本文を作る、要約するなど使い方はさまざまです。

ただし、人間の目によるチェックが欠かせないうえ、オフィスソフトなどへの入力は人力で行う必要がある点は覚えておきましょう。

このように、AIを上手く使えば、効率よくマニュアルを作れる場合もあります。しかし、そもそもAIを使い慣れていない、社内のリソースが足りないのであれば、マニュアル作成ツールの利用もおすすめです。AirQuestは業務効率化を叶えるツールであり、マニュアル作成も可能です。ご興味があれば、ぜひお問合せください。