企業にとって、従業員は大切なものです。
従業員がいなければ仕事は回りませんし、売り上げが上がらない可能性も考えられます。
そのような中で、従業員の早期離職に悩んでいる企業もあるのではないでしょうか。
この記事では早期離職の概要や離職率の推移、主な理由をご紹介します。
早期離職を防ぐための対策方法もまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
早期離職とは何年で離職することを指す?
早期離職とは一般的に、採用した社員が3年以内で離職することを指します。
早期離職は採用した企業にとってもさまざまなリスクや悪影響を及ぼすため、できるだけ避けたいと考えることでしょう。
例えば採用にかけた費用や教育にかけた時間などが無駄になってしまうことがあげられます。
これらのコストは数百万円にもなるとされており、企業にとっては大きな損失です。
また、既存社員のモチベーション低下にもつながるおそれもあるため、できるだけ早期離職につながらないような対策が必要になるでしょう。
早期離職に縁のない企業は存在せず、いつどのタイミングで起こるかわかりません。
早期離職を完全になくすことはできませんが、できるだけ発生しないようにするための坑道が重要です。
早期離職率はどのくらい?どのように推移している?
早期離職を気にする企業にとって、実際に早期離職率がどのくらいあるのかは、気になるポイントの一つでしょう。
厚生労働省が令和2年3月の卒業者を対象に実施した調査によると、早期離職率の割合は以下のようになっています。
- 中学:52.9%
- 高校:37.0%
- 短大等:42.6%
- 大学:32.3%
上記の割合を見てもわかるように、2~3人に1人は早期離職につながっているといえるでしょう。
また、事業所の規模が小さければ小さいほど、早期離職の割合が高いとのデータも発表されていました。
早期離職率の推移については、微増や微減を続けています。
ただし、平成初期~中期などと比較した場合は10%以上減少しているため、時代の移り変わりとともに、早期離職は減っていると考えられるでしょう。
早期離職の主な理由
早期離職につながる主な理由として、以下の4つがあげられます。
- 業務内容が適していない
- 人間関係が合わない
- 労働条件に不満を抱いている
- 将来性を見いだせない
それぞれの内容について、詳しく見ていきましょう。
業務内容が適していない
業務内容が自分に適していないと社員が感じた場合、早期離職につながる可能性があります。
特に入社前にイメージしていた仕事と実際の仕事内容にギャップがあると、やりがいを感じられずに早期離職につながってしまうでしょう。
早期離職をした人の中には、転職先で「希望の仕事に従事できる」ことを実現したいと考える人も多いです。
早期離職を避けるためにも、入社前にしっかりと業務内容のすり合わせをしておきましょう。
人間関係が合わない
入社後に上司や同僚などとの人間関係が合わないと感じた場合も、早期離職につながるおそれがあります。
早期離職した人に向けたアンケートによると、次の職場で良好な人間関係を築きたいと考える人は少なくありません。
人間関係が合わないと業務に支障が出る可能性もあるため、良好な関係が築けるようなサポートが必要といえます。
労働条件に不満を抱いている
実際に働き始めてから、労働条件に不満を抱いた場合も、早期離職につながることがあります。
例えば給与面や休日など、転職先で今よりもよい条件を求める人も多いです。
近年では働き方改革の影響もあり、長時間労働の是正や有給休暇の取得も推進されています。
そのため、自社の労働条件を見直すことも、場合によっては重要となってくるでしょう。
将来性を見いだせない
仕事をしていて将来性を見いだせない場合も、早期離職につながるケースがあるようです。
例えば出世が見込めない、会社が年功序列を重視しているなどであれば、自身でキャリアを築こうとして早期離職を選んでしまうケースがあるでしょう。
実際にやりがいや達成感を感じられず、早期離職する人も多くいます。
経験やスキルを積める環境が整っていないのであれば、企業が改善する必要があることも理解しておきましょう。
早期離職を防ぐための対策方法はある?
早期離職を防ぐための対策方法に悩んでいるなら、以下の5つを実践してみましょう。
- 仕事に慣れるまでの期間を設ける
- 良好な人間関係をサポートする
- スキルを活かせる環境を整える
- 定期的に面談の機会を設ける
- 中途入社の場合は目標設定を行う
それぞれの内容について、詳しく解説します。
なお、離職防止のアイデアについてはこちらをご覧ください。
仕事に慣れるまでの期間を設ける
新たに従業員を採用した場合、仕事に慣れるまでの期間は必ず設けておきましょう。
これは新卒はもちろんのこと、中途採用の場合にも必要なポイントです。
仮に即戦力として採用した場合も、前職と比較してやり方やルールが異なるケースは珍しくありません。
この場合、環境に慣れるまでの間はなかなか結果につながらないケースも考えられます。
結果につながらないのは、従業員にとってもストレスになりかねません。
早期に結果を出せるようなサポートも重要になるため、企業側は環境づくりから力を入れるとよいでしょう。
良好な人間関係をサポートする
良好な人間関係をサポートするのも、企業側が早期離職を防ぐための方法です。
一般的には入社から半年以内に人間関係を築けるかが重要とされており、そのためには教育担当者のサポートが必要と考えられます。
また、役職の高い従業員を雇う場合は、社内全体のネットワーク作りが重要になってくるでしょう。
人間関係をサポートするには、人事の働きが欠かせません。
他部署や他支店などへの訪問機会や見学などを入社してすぐの段階で設ければ、その後のやりとりもスムーズにいくはずです。
スキルを活かせる環境を整える
すでに仕事に活かせるスキルを持った従業員を雇うのであれば、スキルを活用できる環境を整えるのも重要です。
特に中途入社の従業員であれば、環境を整えることで早い活躍に期待できるでしょう。
前職に似た環境を用意できれば、従業員も違和感なく業務を進められます。
ただし、自社のやり方にも慣れてもらう必要はあるため、すべてを前職に寄せてしまわないように注意しましょう。
定期的に面談の機会を設ける
新しく入社した従業員に対しては、人事との定期的な面談機会を設けるとよいでしょう。
面談の機会があれば、職場の上司や同僚に対して言いづらい不満や悩みなどを聞き出せるかもしれません。
このとき、人事はあくまでも第三者の立ち位置にいることが重要です。
どちらかの立ち位置に寄ってしまうと悩みを聞き出せないどころか、新たなトラブルの火種になりかねないため、注意してください。
中途入社の場合は目標設定を行う
中途入社の従業員を雇う場合は、目標設定をしっかりと行いましょう。
仕事に関する目標はもちろん、社内の項目に関係する目標を立てるのも効果的な対策です。
例えば最初の数ヶ月間は、会社への理解を深めたり、社内の手続きやルールを覚えたりなどがあげられます。
実際に会社の戦力になるまでの間、何をすればよいかが明確になることで、新たな従業員のモチベーション維持にもつながるでしょう。
まとめ|早期離職は入社してから3年以内の退職を指す
早期離職は、入社から3年以内に退職することです。
早期離職にはさまざまな理由があると考えられていますが、中でも業務内容が適していなかったり、人間関係が合わなかったりなどがあげられるでしょう。
早期離職を防ぐには、企業側の努力も欠かせません。
新しく入った従業員をサポートする姿勢は、必ず求められます。
この記事で紹介した内容を参考に、早期離職の防止を目指してみましょう。
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