従業員エンゲージメントが企業の成長に重要とは理解しているものの、高めるために具体的にどのような施策を講じればよいのか、多くの企業が課題に感じているでしょう。
本記事では、従業員エンゲージメントを高めるための10の施策と、導入時に注意すべきポイントを解説します。企業のエンゲージメント強化に役立てていただけますと幸いです。
従業員エンゲージメントを高めるメリット
そもそも従業員エンゲージメントとは、従業員と会社との結びつきを示す概念です。従業員満足度とは異なり、従業員が企業に貢献したいと思う状態を指しています。従業員エンゲージメントを高めると、離職率の低下や顧客満足度の向上、そして企業の業績アップにもつながると期待されています。
従業員エンゲージメントについては、こちらの記事で解説しています。
離職率が低下して人材が定着する
従業員エンゲージメントが高まると、従業員は企業に対して強い愛着を持つほか、キャリアや成長をその企業で実現できると感じるため、転職を希望するケースが減ります。
その結果、離職率が低下し、企業内での人材の定着が促進され、採用や研修にかかるコストも削減できるでしょう。また、帰属意識の高まりから、業務の連携やチームのパフォーマンスにも良い影響を及ぼします。
このように、エンゲージメントが高い従業員は組織に長く在籍し、企業の目標達成に向けて積極的に貢献しようとするため、安定した組織運営が可能となります。
顧客満足度が向上する
従業員エンゲージメントの向上は、顧客満足度の向上にもつながります。
エンゲージメントが高い従業員は、業務に対して高いモチベーションを持ち、顧客に対しても積極的かつ丁寧に対応する傾向があります。また、顧客のニーズを理解してより良いサービスを提供しようとするため、新たな商品開発なども期待できます。
このように、従業員エンゲージメントが高まると、顧客への対応や新たなサービスの創出などに良い影響が期待できるのです。
企業の業績がアップする
従業員エンゲージメントが高い企業は、全体の業績も向上が期待できます。
帰属意識の高まりにより人材が定着するうえ、業務に対して主体的に取り組むため、生産性が高まり顧客満足度も向上します。
個々のパフォーマンスが向上し、最終的には企業の業績アップにつながるため、まさに好循環といえるでしょう。
従業員エンゲージメントは、企業全体の成長を支える重要な要素なのです。
従業員エンゲージメントを高める10の施策
従業員エンゲージメントを高めるためには、企業が積極的にさまざまな施策を講じる必要があります。ここでは、具体的にエンゲージメント向上に効果的な10の取り組みを事例を交えながら紹介します。
企業のビジョンを共有する
従業員エンゲージメントを高めるためには、企業のビジョンの浸透が欠かせません。会社の規模が大きくなるほど、企業理念は現場の従業員に伝わりにくいものです。そのため、企業の目的や目標を明確に伝え、従業員がそのビジョンに共感することで、自分の役割が企業全体の成功にどう貢献しているかを実感できます。
定期的に経営陣からビジョンを共有する場を設けたり、社内イベントで企業の価値観を強調したりすると良いでしょう。これはリモートワークでも同様であり、分かりやすく定期的に行うことが大切です。
従業員がビジョンに共鳴すれば、日々の業務に対してより強い意欲を持つようになるでしょう。
明確で公平な人事制度を整える
従業員のエンゲージメントを高めるには、明確かつ公平な人事制度が必要です。従業員が正当に評価されていないと感じると、企業に貢献しようとは思えないもの。従来の勤続年数に応じて上がる給与では、若手のエンゲージメントが上がりにくいでしょう。
しかし、評価基準や昇進のルールが明確であれば、従業員は自身のキャリアパスを描け、努力が報われると感じるようになります。
事例としては、高梁市では複数人で1人を評価する360度フィードバックを、カゴメではKPI目標シートの公開といった制度を取り入れています。
成果の評価はもちろん、成果に至るまでのプロセスも評価に加えると良いでしょう。すべての従業員が納得できる制度にしたいものです。
出典:360|「管理職の気づきの機会に」岡山県高梁市の360度フィードバック
出典:Touch!PERSOL|カゴメ有沢氏が語る、HRの在り方とは?『パーソルテンプスタッフ HRナレッジセミナー2021』と、続編イベントを開催!
ワークライフバランスを整える
従業員が仕事とプライベートのバランスを取れる環境を整えることも、エンゲージメントを高める重要な施策です。
過度な労働を避けるのは当然ですが、柔軟な働き方を取り入れ、長期的に働きやすい環境作りが求められます。
リモートワークやフレックスタイムの導入だけでなく、ノー残業デーのように休息を十分にとれるような取り組みも大切です。
心身の調子を崩すと生産性にも影響しかねません。疲労やストレスをためず、心身ともに健やかに仕事に打ち込める環境作りが望まれます。
希望や適性に応じた人材配置を行う
従業員の適性や希望を尊重した適切な人材配置は、エンゲージメント向上に直結します。
自身の能力やスキルを活かせるポジションに配属されると、従業員はやりがいを感じ、より積極的に業務に取り組むようになります。逆に、適性に合わない、希望が無視された配置は、ストレスとなりエンゲージメントも低下しかねません。
事例としては、ソニーのFA制度やサイバーエージェントの社内異動公募制度などが良い例でしょう。
定期的に従業員の希望をヒアリングして、それに応じた柔軟な配置を行うことが大切です。
社員同士のコミュニケーションを深める
社内のコミュニケーションを活性化させることも、エンゲージメント向上に効果的です。従業員同士が円滑にコミュニケーションを取ることで、チームの連携が強化され、職場の一体感が生まれます。特に、オープンに意見を交わせる環境づくりは重要です。ミスを防ぎやすくなり、互いを助け合えるつながりが生まれ、業務にも好影響をもたらすでしょう。
リモートワークでは特にこうしたつながりが希薄に成りがちであるため、オンライン懇親会の開催も良いかもしれません。
いずれにせよ、部署や職位を越えたコミュニケーションの促進により、企業全体のエンゲージメント向上に寄与するでしょう。
上司が適切なフィードバックを行う
従業員エンゲージメントを高めるためには、上司からのフィードバックが重要な役割を果たします。
1on1MTGなどで適切なフィードバックを定期的に行うと、従業員は自分の業務がどのように評価されているかを理解し、改善点や強みを把握できるものです。
そのためには、上司が部下にどのような伝え方をするかが鍵となります。管理職向けのコミュニケーションやフィードバックのスキルを上げる研修もあるため、必要に応じて取り入れると良いでしょう。
承認される機会をつくる
従業員が職場で認められる機会は、エンゲージメントを高めるうえで非常に効果的です。
努力や成果が上司や同僚から承認されると、従業員は尊重されていると感じ、自信をもって仕事に取り組み、さらに貢献しようと意欲も高まります。
企業独自の表彰制度を取り入れるのも良いかもしれません。社内での表彰制度や、定期的な成果発表の場により、従業員が認められる機会を増やし、組織全体の士気向上につなげましょう。
キャリア開発を支援する
従業員のキャリアの成長支援も、エンゲージメント向上において重要な施策です。
従業員が自分のキャリアパスを明確に描き、それに向けた成長の機会が提供されると、企業に対する期待感や責任感が高まります。
研修プログラムの導入や、メンター制度を通じてキャリア開発をサポートすれば、従業員は「この会社にいると成長できる」と感じられるものです。
新しいスキルを身につけられる環境を提供し、今後のキャリア設計を促しましょう。
社会貢献活動をする
社会貢献活動への取り組みも、従業員エンゲージメントを高める施策として効果的です。
企業がCSR活動のような社会的責任を果たす活動を行うと、従業員は自分が社会に対しても貢献していると実感を得られます。
社会貢献活動は多岐に渡りますが、よくある例としては出前講座や清掃活動、チャリティイベントなどが挙げられます。
従業員が企業の一員として地域社会や環境問題に関わることで、企業に対する誇りや共感が生まれ、モチベーションも高まるでしょう。
定期的な見直しを行う
従業員エンゲージメントの向上施策は、定期的に見直しましょう。
最初に導入した施策が長期間にわたって機能し続けるわけではなく、環境の変化や従業員のニーズに合わせて適切に調整する必要があるためです。
また、昔ながらの慣習があれば併せて見直すのも良いでしょう。柔軟な社風にしていくことで新しい意見も出やすくなります。
エンゲージメントサーベイやアンケートを定期的に実施し、従業員の声を反映させていきましょう。
従業員エンゲージメントを高める際の注意点・ポイント
従業員エンゲージメントを高める取り組みを進める際に、いくつかの注意点があります。より効果的な成果を上げるために、意識してください。
ルールを増やしすぎない
従業員エンゲージメントを高めるために、さまざまな施策を導入するのは有効ですが、過度にルールを増やしてしまうと逆効果になりかねません。
もちろん法令遵守は重要ですが、あまりに制約が多いと従業員が対応できず、かえってエンゲージメントが下がるおそれがあります。
従業員の自由度は担保して、職場に対する窮屈さを生じないように施策を講じることが大切です。
従業員エンゲージメントと従業員満足度を混同しない
従業員エンゲージメントと従業員満足度は、似ているようで異なる概念です。従業員満足度は主に従業員の待遇や働きやすさに対する満足感を示すもので、職場環境や福利厚生が重視されます。
しかし、従業員エンゲージメントは、それを超えた企業の目標や価値観への共感、自己成長への意欲を意味します。
従業員満足度も大切ですが、それだけを追求する施策ではゴールがないうえ、エンゲージメントが高まるとは限りません。エンゲージメントの向上を目指す際は、従業員が企業のビジョンに共感し、「働きがい」を得られる取り組みが求められます。
管理職が積極的に取り組む
エンゲージメント向上施策をより効果的にするためには、管理職の積極的な取り組みが不可欠です。
管理職が従業員の声に耳を傾け、適切にフィードバックすると、従業員は自分の業務が評価され、成長できると感じます。また、上司が従業員とのコミュニケーションを密に取り、信頼関係を築くこともエンゲージメント向上に大きく貢献します。
従業員の理解を得るためには、管理職が主導してエンゲージメントを高めるための施策に関わることが大切です。
まとめ|さまざまな取り組みで従業員エンゲージメントを高めよう
従業員エンゲージメントの向上は、企業の競争力や業績において重要な要素となります。エンゲージメントを高めるには、企業のビジョンを従業員に共有し、公平な人事制度やワークライフバランスの整備、適切な人材配置といった具体的な施策が求められます。
サーベイの結果を踏まえて施策を実施し、定期的な見直しをしながら従業員エンゲージメントの向上に努めましょう。
従業員エンゲージメントを測るにはAirQuestが活用できます。サーベイ機能が搭載されているため、業務効率化とともに、従業員エンゲージメントの向上に寄与できるでしょう。ご検討中の方は、ぜひお問合せください。
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